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フィナステリドと筋肥大、巷の噂と医学的見解

フィナステリドの服用と筋肥大(筋肉が大きくなること)の関係については、インターネット上などで様々な噂が飛び交うことがあります。巷の噂と、現在の医学的な見解について整理してみましょう。まず、「フィナステリドを飲むと筋肉がつきにくくなる」という噂の背景には、フィナステリドが男性ホルモンに作用する薬であることから、筋肉増強に必要なテストステロンの働きを阻害してしまうのではないか、という誤解があるようです。しかし、前述の通り、フィナステリドはテストステロンからAGAの原因となるDHTへの変換を抑制する薬であり、テストステロンの産生そのものを抑制するわけではありません。むしろ、DHTへの変換が減ることで、血中のテストステロン濃度がわずかに上昇する可能性も指摘されています。テストステロンは筋肉の合成を促進するホルモンなので、この点から考えると、筋肉がつきにくくなるという直接的なメカニズムは考えにくいです。次に、「フィナステリドを飲むと筋肉がつきやすくなる」という噂ですが、これもテストステロン濃度がわずかに上昇する可能性に起因しているのかもしれません。しかし、この濃度上昇が、実際に筋肥大効果を顕著に高めるほど大きいかどうかは、現時点では明確なエビデンスはありません。フィナステリドは、あくまでAGA治療薬であり、筋肉増強剤ではありません。医学的な見解としては、現在のところ、フィナステリドの服用が筋肥大に対して直接的に大きなプラスの影響もマイナスの影響も与えるという確固たる証拠は、まだ十分に確立されていません。臨床研究においても、フィナステリド服用と筋肉量や筋力の変化について、一貫した結果が得られているわけではないのが現状です。ただし、フィナステリドの副作用として、まれに性欲減退や倦怠感などが報告されており、これらの症状が筋トレのモチベーションやパフォーマンスに間接的に影響を与える可能性は否定できません。結論として、フィナステリドの服用が筋肥大に与える直接的な影響は限定的であると考えられます。筋肥大を目指すのであれば、フィナステリドの服用に関わらず、適切なトレーニング、栄養、休養という基本的な要素をしっかりと行うことが最も重要です。