プロのアスリートや競技レベルでスポーツを行っている人がフィナステリドを服用する場合、その筋力やパフォーマンスへの影響はよりシビアな問題として捉えられるかもしれません。現在のところ、フィナステリドが直接的に筋力を低下させたり、運動能力を著しく損なったりするという明確なエビデンスは限定的です。前述の通り、フィナステリドはDHTの生成を抑制するものであり、筋肉増強に重要なテストステロンの産生を阻害するわけではありません。むしろ、テストステロン濃度がわずかに上昇する可能性も示唆されています。この点だけを見れば、筋力にとってマイナスに働くとは考えにくいです。しかし、アスリートにとって考慮すべき点はいくつかあります。まず、ドーピングの問題です。フィナステリドは、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の禁止表国際基準において、過去に禁止薬物(利尿薬及び他の隠蔽薬)として指定されていた時期がありましたが、現在は禁止薬物リストから除外されています。ただし、競技団体によっては独自の規定を設けている場合もあるため、事前に確認が必要です。次に、副作用によるパフォーマンスへの影響です。一般の人と同様に、アスリートであってもフィナステリドの副作用(倦怠感、筋肉痛、性機能低下など)が現れる可能性はあります。これらの副作用が、トレーニングの質や量、競技中の集中力や持久力などに影響を及ぼすことは十分に考えられます。特に、わずかなパフォーマンスの低下が勝敗を左右するような競技レベルでは、これらの副作用の影響は無視できません。また、精神的な影響も考慮に入れる必要があります。副作用への不安や、薬を服用していること自体がストレスとなり、パフォーマンスに影響を与える可能性も否定できません。フィナステリドを服用しているアスリートは、定期的なメディカルチェックを受け、体調管理を徹底することが重要です。また、コーチやトレーナー、チームドクターなどと緊密に連携し、薬の服用状況や体調の変化について情報を共有し、トレーニングプログラムやコンディショニングを適切に調整していく必要があります。もし、パフォーマンスへの影響が懸念される場合は、医師と相談の上、他の治療法を検討することも選択肢の一つとなるでしょう。
— AGA —
フィナステリド服用アスリートの筋力への影響は?
2021年8月2日