「痩せたら髪が生えた」という体験談を耳にすることがあります。これは、一部の人にとっては実際に起こりうる現象かもしれませんが、医学的に全ての人に当てはまる普遍的な効果として確立されているわけではありません。しかし、体重減少と髪の健康状態に関連性がある可能性はいくつかの観点から考えられます。まず、過度な肥満は、体内のホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があります。例えば、インスリン抵抗性が高まると、男性ホルモンのアンドロゲンのレベルが上昇し、これがAGA(男性型脱毛症)や女性の薄毛の原因となることがあります。適切なダイエットによって体重が減少し、インスリン抵抗性が改善されれば、ホルモンバランスが整い、結果として髪の成長サイクルが正常化する可能性はあります。また、肥満は全身の血行不良を招きやすい状態です。頭皮も例外ではなく、血行が悪くなると髪の毛の成長に必要な栄養や酸素が毛母細胞に十分に行き渡らなくなります。健康的なダイエットによって体重が減り、血行が改善されれば、頭皮環境も良くなり、髪の成長が促進されることも考えられます。さらに、食生活の改善も重要な要素です。肥満の原因の一つに、高脂肪・高糖質な食事や栄養バランスの偏りが挙げられます。このような食生活は、髪の健康にも悪影響を与えます。健康的なダイエットを行う過程で、野菜や果物、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取するようになると、髪の成長に必要な栄養素が補給され、髪質が改善したり、抜け毛が減ったりする可能性があります。ただし、注意しなければならないのは、「痩せれば必ず髪が生える」というわけではないということです。薄毛の原因は多岐にわたり、遺伝的要因や加齢、ストレス、特定の疾患などが関与している場合もあります。また、極端な食事制限による急激な体重減少は、かえって栄養不足を招き、髪に悪影響を与える可能性もあります。もし、「痩せたら髪が生えた」という体験談に興味がある場合でも、自己流の無理なダイエットは避け、バランスの取れた食事と適度な運動を基本とし、必要であれば医師や栄養士に相談することをおすすめします。
— かつら —
痩せたら髪が生えたという話は本当?医学的根拠は?
2021年1月23日